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2011年4月21日木曜日

わたしを離さないで カズオイシグロ

静かな、とても静かな作品だ。

介護人のキャシーによる過去の回想録として物語は進む。

キャシー・ルース・トミーが過ごしたヘールシャムでの話。

2011年4月18日月曜日

サクリファイス 近藤史恵

何年か前、深夜のテレビでツール・ド・フランスのダイジェスト版が放送されていたのを見て面白くてハマった覚えがある。ちょうどランス・アームストロングが連覇してた頃だ。
チームがあってそこに何人も所属しておりスプリントレースや山岳レース、タイムアタックなどいくつものステージを戦って総合優勝を狙う。
見始めたときにはルールも何もわからず、車列が一列になって走っていて違うチームなのに前に行かせたり行かせてもらったりしていることが不思議でしかたなかった。しばらく見ているとそれなりに彼らがチームプレイで走っていることに気付く。レース展開によっては彼らの中からステージ優勝する者が出てくるかもしれないが、彼らの仕事はチームの中のエースを勝たせることなのだ。だから彼らアシストは時に集団のペースを乱したり集団をひっぱったり、エースが勝つために自らを犠牲(サクリファイス)にするのだ。
そうしたアシストたちの集団の中の駆け引きがわかってくるとより一層レースを楽しんでみられるようになる。

この『サクリファイス』は日本のチームに所属しアシストとして走っている白石誓(しらいしちかう)からみたチーム内の人間模様とそこで起きる事件を描いた作品である。

2011年4月15日金曜日

ゴールデンスランバー 伊坂幸太郎

全編に漂う喪失感


でも執着心はなく、物事を諦観するかのような登場人物。


普段は自分自身でも感じられないけれど、街中に流れている音楽や何かの出来事、そして誰かのしぐさにその当時の情景がありありと思い出され、胸の奥がほんの少し苦しくなる。


グラスホッパー
アヒルと鴨のコインロッカー
そしてこのゴールデンスランバー等々・・・
伊坂幸太郎の小説といえばそんな雰囲気一杯の作品が多いように思う。




今回の物語も伊坂幸太郎独特の軽いタッチで進んでいく。
ただ起こる事件は首相暗殺というこれまでの話に比べてもかなり大きなものになっている。