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2011年7月7日木曜日

巡査の休日 佐々木譲

前作『警官の紋章』から再び事件が続いていく。

前作で小島百合巡査が発砲し負傷を負わせ逮捕した婦女暴行殺人犯が警察病院から逃走するところから話が始まる。
そのタイミングで逮捕時に狙われていた村瀬香里にストーカー行為とも取れるメールが携帯に送られてくる。
すぐさま小島百合は村瀬香里の身辺警護を命じられる。
 
札幌はちょうどよさこいソーラン祭りが開催されようとしている時期。
よさこいソーラン祭りのダンスチームに所属している村瀬香里を警護するため小島百合もダンスチームに入り踊るハメになる。カタイ警官然とした印象の小島百合がよもやのダンスチームに強制加入する下りは、まき込まれ型のギャグ映画のようでちょっとおもしろかった。

津久井卓巡査部長(階級は変わってない???)は逃走した婦女暴行殺人犯、鎌田光也の足取りを追って宮城・東京・神奈川へ向かう。

佐伯宏一警部補と新宮昌樹巡査はあいかわらず名ばかりの「特別班」で街中で起きる窃盗などの小さな事件捜査ばかりやらされていた。
別の署で追いかけていた2人乗りのバイクによるひったくり事件の聞き込み捜査をやらされることになる。


 
こうして「チーム佐伯」のメンバーたちはそれぞれの事件を担当し、一見つながりなさそうな事件がだんだんと物語が進んでいくうちにひとつに収斂していくのだ。
この手法はこれまでの北海道警シリーズのひとつのパターンでこういうつながり方をするのかといつも驚きと共にその見事さに感心させられてしまう。

今回のこの物語、これまでのメインの事件から少々外れた「スピンオフ的」なものに当たるのではないかと思う。
確かに以前起きた事件からの続きではあるし佐伯警部補の追いかけているでっちあげ事件に関することも盛り込まれてはいるが、やはり今回は小島百合巡査がかなりクローズアップされており、そしてまたこれまでちょっと存在薄だった(私の中では)津久井巡査部長の捜査風景から彼の人間性も垣間見られ、メンバーの人物像を掘り下げるための物語だったのでは、とも思ってしまった。

ストーカー事件はミスリードされていると思っていたが予想外の結末に「おぉ!」と思わされ、佐伯警部補の個人的追求事件もとりあえずの終わりをみて最後はよさこいソーラン祭りの会場で祝杯を上げるメンバーのシーンで終わるのだが、佐伯警部補も思ったように私もこのメンバーが再び集結して巨悪に対抗していく姿を見てみたいと願っている。

あの終わり方ではなんとなくそうした展開が今後期待されるが、楽しみに待つことにしよう!!!

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