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2011年9月8日木曜日

星を継ぐもの ジェイムズ・P・ホーガン

実はこの小説、かなり昔、まだおぼこい学生だった頃に1度読んだことがある。
その頃マイブームだったと思われるSFや伝奇モノのひとつとして読んだのだと思う。
それからずっと、イイ印象を持ってずっと記憶にとどまっていたのだから、きっと当時の自分も面白く読んだのだと思う。

ただ、今回読んでみて当時読んでうっすら覚えていた内容の印象とは違っていたのは単なる記憶違いなのだろうか。



人類の飽くなき探究心はついに惑星間航行を行うまでになっていた。
月には大規模な建築物が作られ、一般人が観光として訪れることが普通になりつつあった。
そんな月のある場所で宇宙服を着た男性の死体が発見される。調べれば調べるほど地球の人間としか思えないこの男性、放射性同位元素による年代測定を行うと、なんと5万年前に死亡したことが判明する。
どう考えてもそんな時代に月に人類が到達していたはずもなく、とはいえエイリアンだという可能性はあまりの人類との共通性から考えられない。

ではいったい、彼はどこからやってきたのか・・・


もうSFの設定ではあるけれど、これはすでにミステリの世界だ。
この途方も無い謎を少しずつ、少しずつ、僅かな手がかりを元に解明していく。
原子物理学者ヴィクター・ハント
生物学者クリスチャン・ダンチェッカー
はじめは反目しあう二人だったが、大いなる謎という共通の問題が彼らお互いを理解、協力させるまでになり、二人が中心となって謎を解明していく。


スペースオペラものなんかと違って、戦闘やら大きな出来事があるわけではない。地味な検証作業が多く、読み手によっては退屈極まりないかもしれない。
しかし、少ない物証などで少しずつ謎が解明されるプロセスはスリリングだし、遙か太古のことを思い浮かべながら宇宙を眺めるハントの姿からはロマンも感じられる。
また、不自然ではない程度に展開も早く、訳文の良さと相まって楽に読み進める。



謎は2転3転して果てには人類誕生の謎にまで迫っていく。

ちょっと専門的な言葉が多くて読み始めはちょっと手間取るかもしれないが、非常によくできた話だと思う。
あらためて読み直したがイイ印象は変わらなかった。

ちなみにこの話はシリーズ化されており次作は更に驚きの展開となる。

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