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2011年2月27日日曜日

Op.ローズダスト 福井晴敏

新しい言葉を主人公達に求めさせている割りには古い言葉の羅列と義理人情(浪花節)といった昔から日本人が好んできた人情話がくどいほど出てきてちょっと食傷気味・・・







戦闘場面の描写は相変わらず秀逸。
上巻で延々と続く福井節をなんとかクリアすれば物語が進むスピードがグンと上がりワクワクしながら読み進む自分に気付く。
兵器や武器そして街やビルの機械設備にいたるまで豊富な知識に裏打ちされたリアルな描写で作り上げられたお台場での戦闘シーンはまるで上質なハリウッドの戦争映画を観ているようにありありと頭の中に場面が浮かんでくる。
あとがきで誰かがフォーサイスやラドラムと比べていたけれど、福井晴敏はその二人とはまた違うすぐれた書き手だと思う。

そう、すごく素晴らしい戦闘シーンが書けるのに、なんでいつもおやじと若造のバディものなんだろうか・・・
新境地開拓されることを望む。


それと、入江一功らテロリストが起こすこの混乱。
いったい彼らの大義はなんだったのか。
もともとはアクトグループ代表の若杉が画策したことだが、入江らは若杉さえ殺害するに至った、ということは、もっと彼らなりの理由があるからに違いない。

新しい言葉を生み出すため古い言葉(世界)を壊すのか・・・
単なる丹原朋希に対する挑発(?)なのか・・・


読んでいて迫力ある戦闘シーンなどすごいんだけど、そう感嘆する裏でなんかおもちゃ与えられた子供が暴れまわってる、って気持ちが拭い去れずに最後までいってしまった。
なにかもっともな理由があったのだろうけど共感できるものがなかった、というより見つけられなかった。


スケールが大きいけれども結局小さい内輪もめの話か、って気がするのは私だけか・・・


事を起こす理由には色いろあると思うけれど、『亡国のイージス』や『終戦のローレライ』の決起人の理由の方が納得できたんだけどなぁ・・・
彼らの大義が理解出来ればもっと感情移入できたと思うが、その点がちょっと残念だ。

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