監督:クリント・イーストウッド
脚本:ピーター・モーガン
出演:マット・デイモン セシル・ドゥ・フランス
死後の世界にとらわれてしまった3人の苦悩とそこからの立ち直りを描いたクリント・イーストウッド監督のヒューマンドラマ。
超大作ではないのでレンタルDVDで観ようか、と思ったけれど、映画館で見て正解だった。
冒頭、東南アジアのリゾートが飲み込まれる津波のシーンは非常にリアルで迫力があり大画面で見ると私自身も一緒に巻き込まれてしまっているような恐ろしさを感じてしまうくらいのすごい映像だ。
どうやって撮ったのかと思うほどそれはすごいシーンで、これだけでも映画館で観る価値はあると思う。
その冒頭の津波に飲み込まれ臨死体験の際に見た光景が忘れられないフランスの女性ジャーナリスト、マリー。双子の兄を亡くし悲しみから立ち直れないイギリスの少年、マーカス。死者と交信出来る霊能者でありながらその才能を嫌悪しその能力を封印して生きるアメリカの工員、ジョージ。
「死」にとらわれ先に進めない3人の苦しみとその再生の物語。
これまでのイーストウッド監督作品と同様に細かい説明がないためその時々の場面の意味がすぐにはわかりにくい。なぜこの場面でそうなるのか、そのセリフはどういう意味・・・。
典型的なハリウッド映画ならきっちり説明があるはずなのだが、彼の作品にはそれがない。他人の考え、行動は判りえるはずがない、とでも言っているかのよう。
でもその説明過多にならず淡々と3人の生活を描いていくことで、静かにそしてじっくりと観ている側に彼等の悲しみが沁みこんでくる。
死後の世界を題材にしているがそれは手段にしか過ぎない。ジョージが繋ぐことが出来る死後の世界は本当に存在するものなのかもしれない。でもその世界の描かれ方は曖昧で存在自体も不確かなものだ。
そう、死後の世界などその存在自体、誰も確かめたことがないのだ。「死後の世界」は人の苦しみ・おびえの象徴。曖昧な存在である死後の世界というものを使って、そうしたおびえや苦しみに囚われず今を精いっぱい生きることを訴えているのではないだろうか。ためらわず、躊躇せず進め、と。
イーストウッド監督がインタビューでこんな感じのことを答えていた(ちゃんと覚えていない・・・)。
「死後の世界があるかどうかはわからない。でもそれを考えるより今を100%生きて後悔しない人生を歩むことが大事だ。そうして満足いく人生が送れたその後に更に付録があるなんて素晴らしいではないか」
ためらわず一歩を踏み出したからこそ映画の中の3人は心の安らぎを得られたのではないだろうか。
最後のシーンはそうしたことを表していたのだと思う・・・
ところで、この映画にスピルバーグがエグゼクティブプロデューサーとして参加している。
ふと、さっき思ったのだが、この映画って『未知との遭遇』っぽい気がするのだが・・・
私だけ・・・???
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