「図書館戦争」シリーズの第5弾である。
第4弾の『図書館革命』で晴れて付き合うこととなった堂上と郁。
でも、これまでもそうだったように、二人の関係は遅々として進展していかない。
今回は『図書館革命』後の図書隊の日常を、というより堂上と郁ふたりの恋愛模様を描いたものだ。
まぁ確かにちょっとした事件はいくつか起きるのだが、それはあくまで物語を進行させる手段でしかなく、メインはふたりのイライラする関係が綴られているのだ。
そう、この本の帯にも書かれている。
「ベタ甘恋愛モード全開の・・・」
「もどかしいにも程がある!」
「警告!恋愛成分が苦手な方は、十分に体調を整えお読み下さい」
そうなのだ、この物語はひたすら甘~く、もどかしく、なぜかほんわかピンク色がイメージされる話なのだ。
堂上と郁、ふたりはまるで中学生か高校生のような初々しさで、ちょっとずつ、ホンのちょっとずつお互いの距離を近づけていく。
これが30過ぎの男と26歳の女の行いかと思うとちょっと引きそうにも実際なりかけた。
しかし、よく考えてみる。
女ったらしや悪女ならいざ知らず、普通にこれまで恋愛してきた大人、私にしても誰にしても皆、こうしたところはあるのではないだろうか。
確かに人生経験を積んでくると色々な知識やノウハウを身につけ表面上は上手く立ち振る舞うことが出来るようになるかもしれない。
しかし、年齢を重ねてくると純粋な気持ちを(持っていたとしても)相手に対して表すことが、そうした積み重ねたものがジャマをして、難しくなってきてしまうこともあるのではないだろうか。
そうした余計な知識・知恵・しがらみetc...をすべて振り払って、自分自身のコアな部分で相手に対峙したとき、彼らのようなもどかしさをどこかに感じていることはないだろうか。
そうした気持ちをどこかで感じている、持っているから彼らふたりのことをイライラしながらもつい見守ってしまうのだろう。
歩みは遅いながらも物語の中で彼らはちょっとずつ進んでいき、そしてラストにはひとつの結末をみる。
最初から最後まで甘々な展開が続いてちょっと塩辛いものも欲しくなってきたが、まだ別冊はもう1冊残っている。
このあとはどんな甘いものが待っていることやら、要注意である。
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