C10H14N2(ニコチン)と少年-乞食と老婆
Ωの聖餐
無垢の祈り
オペラントの肖像
卵男(エッグマン)
すまじき熱帯
独白するユニバーサル横メルカトル
怪物のような顔(フェース)の女と解けた時計のような頭(おつむ)の男
8つの短編からなる平山夢明のこの作品の内、「独白するユニバーサル横メルカトル」が第59回日本推理作家協会賞を受賞している。
どの作品も非常に凄惨で残酷な場面の連続で読むのが辛くなってくるものばかりだ。
しかも残酷な上に理不尽な関係ばかりが描かれており、いったい何を言いたいのか理解に苦しんでしまう。
この本は知人から借りて読んでみたのだが、最後まで読めるか自分で心配になった。
(後から聞いた話によると貸した本人は最後まで辿り着けなかったとか・・・)
でもよくよく読んでいくとそんな残酷描写の向こう側に微かに「愛」を感じさせるものもあった。
「オペラントの肖像」は、人が悪い欲望に走ることのないように潜在意識(?)に条件付け(オペラント)を行うようになり、それが行き過ぎて芸術などもすべて良くないとされる世界を描いている。
「怪物のような顔(フェース)の女と解けた時計のような頭(おつむ)の男」は拷問を専門とする男がドンに依頼されある娘を拷問していく。
どちらも人を信用できない世界や考えうる限りの残酷な方法で人間を痛めつける描写が出てきて気分が悪くなってくる。
でもそんな酷い行為の連続の裏側にはそれを実行している人間の愛を求める哀れな姿が透かし見えてくるのだ。
きっと作者は極端な残酷描写を描くことによって、汚されることのない清い心をあぶりだそうとしたのだと思う。
そうでないとただの気持ち悪い残酷物語でしかない。
そこにこの物語の救いと癒しがあるのだと思う。
結構前に読んだものなのでちょっと細かい点を忘れてしまっているので、短い曖昧な感想となってしまった。
最後まで何とか読めてヨカッタ・・・
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