フラっと出かけてみようと思って行き先を考えていたら、以前に駅のポスターで見た大山崎山荘美術館の『かんさいいすなう』展を思い出した。
いろんな作家の椅子を集め、実際に作品に座れるらしいその展覧会、オモシロそうだったので行ってみようと思ったら9月25日で終わっていた・・・
残念だったけど、今やっている企画展が『大山崎山荘のおもてなし 利休、モネの見立てた大茶会』というちょっと地味っぽいけど変わってて興味を惹かれる。
少しのんびりしに行ってみることにする。
この大山崎山荘
明治から昭和にかけての実業家、加賀正太郎によって大正時代に建築が始まり、その後の増築によって昭和の初め頃に今の姿が出来上がったそうな。
実はこの山荘美術館は、ウチから電車で駅3つ分、30分もあれば行くことが出来るのだ。
なのでここは結構訪れることが多くて、別に何か見たいものをやっていなくても、癒されに訪れている。
というのも、ここにやって来るのは美術品目当てではないからだ。
電車で行くのが早いけれど、本日はバイクでおでかけ。
ホンのちょっとの時間走ってJR山崎駅到着。
駅前駐輪場にバイクを停めて歩いて向かう。美術館周辺には駐車場・バイク置場の類はまったくないので仕方ない。
駅近くの踏切を渡ると「天王山登り口」とあり、急な上り坂になる。
どんな急かといえば、こんな角度の坂がしばらく続くのだ。
まぁでも先を急ぐワケでなく、のんびり上っていけばそれほどしんどくはない・・・か???
隧道を通って山荘の中に入っていく。
緑の木立の中を歩く。
このあたりはもう坂も緩やかになっている。
まだ木々は緑ばかで色づいていないけれど、少しずつ秋の気配が訪れているようだ。
銀杏がたくさん落ちていた。
緩い坂を上って行くとやがて、かつてはお屋敷だったと思わせる美術館の門が現れる。
そしてこれが加賀正太郎がイギリス留学で見て来た建物を参考にして建てられた山荘。
3階建てでチューダー様式(というものらしい)の立派な建物だ。
美術館入り口は、山荘そのままの(美術館にしては)小さなドアで、まるで誰かのお宅を訪問しているような気分になる。
『大山崎山荘のおもてなし 利休、モネの見立てた大茶会』
かつてこの山荘は様々な人々をもてなした場でした。またここ山崎の地は、千利休が山崎の合戦の折に建てたとされる茶室「待庵」が保存されています。こうした茶とおもてなしの歴史や文化に彩られた大山崎の地にふさわしく、山荘のおもてなしの歴史を紹介しながら、当美術館ならではのおもてなしの席を設えます。
本展では、茶器や絵画・彫刻などを組み合わせて「大山崎山荘の茶会」と見立て「おもてなし」を演出します。
自宅の庭に日本庭園をつくったモネの『睡蓮』を茶器などに合わせて展示しています。
(パンフより抜粋 一部追記)
モネの『睡蓮』は結構根強い人気があるみたいだ。
私自身はこれまであまり興味はなかったのだが、今回じっくり眺めてみると淡いタッチの中にも力強さも感じられ、激しさと穏やかさが入り混じったようなそんな印象を受けた。
たまに眺めにくるのもいいかもしれない・・・
でもそれよりも、印象に残ったのは、数々展示されていた茶器やツボなど、日用品として使われていたと思われる陶器の方だ。
現代のものもあったが、17世紀前後の器などを見ていて、その風合いや文様の素朴でありながらちゃんと計算されているところにちょっとやられてしまった。
今出してきてもかなりいけてるコーヒーカップなど、その当時の陶工たちのセンスの良さが光る。
更に面白かったのはこの山荘で開かれた茶会や花見の(今でいう)パンフレットが展示されていたこと。
山荘全体図が手描きで描かれておりポイントに説明文が書かれてある。
現代のように整然とレイアウトされてないし当時はそれが普通だったのだろうけれど、今見ると味わい深くて、今こんなのもらったら楽しそうでホイホイ行っちゃいそうです。
それと建物自体が重厚で安っぽさは微塵もなく、とても素晴らしい。
最近になって取り付けた現代の進んだものが逆にチープに見える。
2階に上がってすぐの階段ホール。
真ん中に立ってぐるっと見回すとその素晴らしさがよくわかるが、その中で私が気に入っているのが、1階からの階段上に吊るされている照明。
この照明のカバーの柄に、一対の鳩が仲睦まじく羽を広げている姿が図案化され使われているのだ。
歴史的建造物の重々しい雰囲気の中に、こうしたちょっとした遊び心(?)があるとホッとする。
建物内部の写真は撮れないので、気になった人は行って確認するべし。
茶器などが展示されている山荘(本館)から廊下(というより階段)を通ってモネの展示されている地下の新館へ行く。
廊下(階段)はこんな具合。
ちなみにこの新館は安藤忠雄設計のものらしい。
美術館から少し下がると池が作られておりちょっとイイ雰囲気。
この場所はゆるりとしていたいので人が少ない方がいいかな・・・
山荘下の芝生広場にいるとても背の高いウサギさん
バリー・フラナガン『ボールをつかむ鉤爪の上の野兎』
あっ!足元の鉤爪が写ってないぃ!!!
僕も仲間に入れてよ、と言いながら山荘を見上げているようにも思えます。
芝生広場では主婦グループが子連れでお弁当を広げていました。
お昼時で私もお腹が減って来たのでそろそろ帰ることにします。
久しぶりに訪れて、ちょっと気分もリフレッシュ出来たか・・・
あんまし美術展記録にはなっていないけれど、まぁいいか。こういう落ち着いた庭で読書するのもオツなものかもしれない。
何度も来ているのに今までソコに気付かなかった・・・
追記
カメラの調子が悪かったせいか、なんだか色が褪せたような写真ばかりになってしまった。
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