何年か前、深夜のテレビでツール・ド・フランスのダイジェスト版が放送されていたのを見て面白くてハマった覚えがある。ちょうどランス・アームストロングが連覇してた頃だ。
チームがあってそこに何人も所属しておりスプリントレースや山岳レース、タイムアタックなどいくつものステージを戦って総合優勝を狙う。
見始めたときにはルールも何もわからず、車列が一列になって走っていて違うチームなのに前に行かせたり行かせてもらったりしていることが不思議でしかたなかった。しばらく見ているとそれなりに彼らがチームプレイで走っていることに気付く。レース展開によっては彼らの中からステージ優勝する者が出てくるかもしれないが、彼らの仕事はチームの中のエースを勝たせることなのだ。だから彼らアシストは時に集団のペースを乱したり集団をひっぱったり、エースが勝つために自らを犠牲(サクリファイス)にするのだ。
そうしたアシストたちの集団の中の駆け引きがわかってくるとより一層レースを楽しんでみられるようになる。
この『サクリファイス』は日本のチームに所属しアシストとして走っている白石誓(しらいしちかう)からみたチーム内の人間模様とそこで起きる事件を描いた作品である。